幸せになるのをいつも怖がっていたのに
2024年11月23日 02:23
幸せが怖い か細いとは言えない身体を震わせつつ 涙を床に情けなく流すほど . . . 「今日はどんな手順を踏んで 快楽に溺れたい？」 カウンセリングの時間 「かなみのどこに惹かれたの？」 と、つい野暮なことを尋ねてしまう わたしが作る“かなみ”のことは わたしが1番 知っていると思いたいけど 貴方から見える “かなみ”の輪郭をなぞって またわたしを確かなものにしていきたいから マゾヒズムを秘めたる紳士の 誰にも言えない我儘を 微笑みながら 時に睨みながら アラームのけたたましい合図に急かされるまで 叶えて 叶え尽くしたら 先程までわたしに とろける熱視線を浴びせていた紳士は 涼しい顔であっさり背を向け どこかに行ってしまわれる それを見えなくなるまで寂しく見送ったら また、次の紳士の待つ所へ わたしは、錦糸町のラブホテル街を 蝶のようにひらりはらり飛び回る 体力が尽きるまでそれを繰り返す そんな生活が7日も続いている 未だ心のどこかで 心地の良い夢を見ているだけでは と疑っている へとへとでぺこぺこになったまま 酒臭い電車に駆け込む 80分間だけ股に男性器をぶらさげて それで男性を喜ばせていた 妙齢の女が平気な顔して 酔っ払いに紛れていることを 愉快に思ったがそれも束の間 戯けて「洞窟」と呼んでいる 東京のどこかにある これと言って何もなく 誰も待っていない 借り物の1Kの天井を虚しく眺める 「「私には何もないから」そう言って笑った」 スピーカーから流れるsyrup16gを 王蟲返しするくらいで 数時間前まで流暢に いやらしい言葉を滑らせていた口を 使うことは喫煙以外で殆どない 自分の情けない輪郭に 押し潰されそうになったら “かなみ”として インターネットを彷徨って 社会に存在していいことを確かめて 満足するまで安堵したら セミダブルのベッドに横たわる . . . 朝 悪夢と現実の分別がつかず 動悸と猛る心拍数をなんとか落ち着けて 水を一口、煙草を一本 今日も死んでない 顔を洗ったり歯を磨いたりして 自分の輪郭をなぞって 神経を叩き起こす 紳士達の恍惚とした表情を よく焼き付けるために カラーコンタクトを押し入れて 化粧を施したら 貴方がよく知る “かなみ”の出来上がり 壊れかけのスマートフォンの 内カメラを起動して 今日も可愛くできたか 確かめたら また 錦糸町に数多ある ラブホテルのどこかで待つ 紳士を愛で迎えに旅立つのです . . . 貴方がいないとかなみで居られない おまえがかなみを見つけてくれたように かなみもおまえを見つけられて 毎日幸せです 有難う 「人気者でしょうから私なんかにお構いなく」 なんて次言ったら、お仕置きだよ ずっとお側に居させてくださいね 明日17:10-19:20の間 1枠だけ空いております 初めましてのキスも 知ってる唾液の味をおかわりでも マゾヒズムを秘めたる方ならどなたでも |
かなみ20歳
