第12話
2025年3月4日 17:16
釘の秘密を知っていると 言って近づいてきた男 ムナカタは 「返して下さい」 と言う私に腹を立て 釘を投げつけた。 数日後 私が会社に出社すると 同僚は近寄ってきた。 「ねぇ、知ってる？」 と彼女は 秘密を打ち明けるような声で 「骨董品店をやってる ムナカタさんが居なくなったんだって」 私が驚いて言葉をなくしていると 彼女は 「何も持たずに居なくなったらしいの。 警察は事件と事故 両方の線からあたってるって」 と言った。 私はもう確信した 全ては釘だ。 この釘は一体何なのか。 釘の呪い？ これは何に使う釘なのか。 この古びた釘には何かがある。 昔、考古学者の父が 私にしてくれた話を思い出した。 「冴子 私が古い物好きなのは 物には精霊が宿ると信じているからだ。 古ければ古いほど宿る霊は深くなる。 私は時間に屈しなかった 喜びや悲しみをこの手で触りたい この手で感じたい。 そして刻まれた思いはやがて力を持つ。 その思いを大切にすれば 私たちを守ってくれる。 でも一度その思いを裏切ると 力は呪いに変わる。」 呪い？ まさか。 |
店長コメント
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